今日の辻ヒールは……、
お、この人、無になりたい人みたいだ。
悪い意味ではなく、消えたいということではなく。
限りなく客観的に、
自分の主観を交えず、
ただただ中庸に、冷静な視点を持っていたい。
基準点、中央値、平均。
何者にも偏らない、そんなあり方の体現を目指しているひと。
しかしそれは無意識的なもので、ご自覚はないかもしれないな。
ご本人の意識上では、心熱く、
死を選びたがる方へ一生懸命に「生きて欲しい」というメッセージを発信している。
淡々とした語り口で人を励ましながら、時々「自分の言葉は相手に届いたのだろうか」
「自分のやっていることに意味はあるのだろうか」という嘆き……が……えええええ!?
わたしが同じこと思って仕切り直しを考えた日に、それ、言う人!!?
ああ……あと
「自分にも生きる意義は分からない、
生きたいともそんなに思っていない、
それでも生きてほしいと思うし、そう言うしかない」
とも……
なんという……おまおれ……
ありがとう神よ、このお引き合わせに感謝します……
なんだか堅苦しくて形式的な、本心のこもってなさそうな言い回しになってしまったけど、
ひたすらこうとしか言えない。
思えない。
そんなこんなで施術を開始しますかね。
この人の活動が実を結ぶようにね。
……って、実を結ぶのが必ずしもいいわけではないか。
肩の力を抜いて、ただ応援しよう。
この人の活動ではなくて、この人の人生を。
『こんにちは。
無意識の調整をして回ってるんですが、
あなたにも施していいですか?』
「ああ、よかった!
やっと人に会えた!!
ここには誰もいないんです」
わたしが話しかけるなり、この人は駆け寄ってきて倒れ込む勢いで膝をつきました。
「誰もいない」というのはどうやら、
実際に誰もいないことを指しているのではなく、
この方の感じておられる孤独感を指しているようです。
自分の懸命な言葉(活動)が誰にも届いた感じしないんだもんね……
わたしも似たようなことをしていると認識すると、その不安を、わたしにも投げかけてきました。
「わたしのしていることに……
意味はあるのでしょうか」
全然、伝わっている氣がしないんです、と。
『…………』
『わかりません』
『わたしもこういう活動をしていますが、効果も、意味も、分かりません。
あなたが、ご自身も生きる意義が分からないけれど
それでも自殺志願者は止めるしかない、
そう思って行動されているのと同じです。
だから、心の支えも、
意味があるかどうかではなく、
自分がやると決めた、その氣持ちに置くしかないでいます』
「そうですか……」
『はい』
『だから、その活動が順調に進められるよう、無意識の調整をしてみますね。
あっ とはいえ
負担を感じたら無理に続ける必要はないですからね。
止めたり、違う方法、
もっと負担が少なかったり効果の出やすい方法を探すのは悪いことじゃないです、
むしろとても必要なことです。
重要なのは
何をしたかではなく何を与えたかで、
目に見える成果ではなく、目に見えないところで進み始めるる影響ですから』
『では、始めます』
この人の心象風景は……
なんだこれ。なんか不思議な感じだ。
なんと形容したらいいのか分からない。
何十人か入れそうな円形で広めの部屋で、
壁の上半分が大きくガラス張りになっていて、内部を公開できる手術室、研究室、ナースステーション、
なんかそんなような印象。
直線と白黒で構成されている無機質な建物。
でも息苦しさはない。
広いし、真っ白な壁はとても清潔で、天井が全面開いていて青空がよく見え、日も差し込んでる。
……あれ、よくみたらガラス窓と逆側は壁がなくて開けてる。
そしてその先には……スタジアム?
鮮やかな緑の芝生と、沢山の青い観客席が見える。
選手も観客も、誰もいないけど。
なんだろう、なんだか不思議な景色だなあ。
これは何かを意味しているのだろうか。
人の潜在意識に入ると、自分の中からは出てこないだろうイメージが見えてくることが多くて楽しい。
相手の方がへたりこんでそのままなので、わたしもその場に座り込みつつ。
『うーん、なんか、
このまま進めるのは味氣ないですねえ』
ということで、ふたりのしたにマットを敷きました。
フカフカカーペットのような、うーんでもピクニック氣分も楽しいのでビニールシートのような……
欲張って相反するイメージを詰め込んだので形容し難い敷物となりましたw
現実では用意できないですけどね、イメージの世界は物理現象の限界に囚われないのでなんでもありですw
せっかくなのでさらにピクニック氣分しようとお弁当も広げました。
バスケットにサンドイッチと、水筒に麦茶と……
『うーん、いいですねぇ、
なんだかとても楽しいですよ。
ここは空氣も澄んでいるのですねぇ』
空氣に不純物が少ないのだろうな、という感じのスッキリした感じがあります。
スタジアムの向こうには海が見えることにも氣がつきました。
建物も、スタジアムも、そして海も空も、
とてもスッキリとした、シンプルだけど美しい色をしています。
いいねぇ、空氣と色と景色の構造(?)に現れているこのクリアな感じ、この人の持ち味なんだろうねぇ。
「基準点、中央値、平均」を目指すにあたっても活きているのだろうな、この混じりけのない状態が。
わたしはいつの間にか麦わら帽子まで被っていて
すっかりピクニックモードに入ってしまいましたが、そろそろホントに始めようw
まずはチャクラの調整から。
……ほうほう……
思考の人だな。
エネルギーというかオーラというかが上に偏ってる。
頭のまわりがとても大きい。
頭を2~3個並べて入れられそう。
第6(眉間)と第7(天頂)に該当するかな……
第5(喉)は含まれるかな、どうだろう。
そして逆に、生命の基盤となる第1(会陰)は弱い。
胴体の底というか、足に出てる。
体を覆っている非物理エネルギーが、足先へ向かうにつれて細くなっていって
足元に至ってはほぼなくなっている。
当然バランスが悪いので、調整するよォ
頭から。広がりすぎたオーラを、おにぎりのごとくギュッギュッと圧縮w
でもあまり圧縮して固くするのはよくないから、ふわふわ〜っとね。
カチカチおにぎりではなく
ふわふわおにぎりになるような加減で……
そして無尽蔵に頭の周りへオーラを広げてしまう状態も調整。
次に足元。
足のまわりを補強する……だけじゃ足りないなコレ。
エネルギー補充で不足している分を補おう。
でも、これだけじゃまたすぐに頭でっかちのバランスに戻っていってしまうなあ。
うーん
靴を履かせよう。
登山用のような、ゴツくて少し重たい靴を。
慣れるまでの間ちょっと歩きにくくはなるけど、エネルギーが上がる一方になるのは防いでくれるはず。
そしたら落ち着いた状態を保てるから、考えたことを現実へ持ち込むことも安定させられるはず。
ここまで対応した時点で、相手の方の輪郭がハッキリしてきました。
それまではぼんやりしていたというか、
なんとなく人型だったけど服もよく分からないシルエットだけみたいな感じだったのが、短い髪と、ポロシャツとジーンズというラフな格好が見えてきました。
顔は、お面をつけているので分かりません。
このお面は「基準点、中央値、平均」を目指す姿勢そのものを表しているらしくて(自身の個人的な揺れを表出させすぎない)、
姿がハッキリする前からつけていて、そしてこれだけは最初から明確なのでした。
最後に、無意識の全体的な調整。
成果がなかろうと迷いがあろうと、
自分のしていること、したいと思ったことを進みやすくなるように調整しました。
施術が終わったあと、相手の方は立ち上がると
胸の辺り (第4チャクラ、心臓のあたり) を光らせて、
そこからブリキ?の心臓??を取り出して
こちらへ手渡してくれました。
『くれるんですか?』
靈的な贈り物をもらうのは初めてではありませんが、
施術した人からは初めてです。
うっ そういえば
いままでもらったものあんまり使ってないなあ、
使ってあげないと……
今までもらったものもあんまり使ってない、使い方すら分からないのに
また新しいものを受け取るのは氣が引けるな…………
う しかし
せっかく贈ってくれた氣持ちを無下にしたくはないよなぁ……
現実と違って、置き場所や手入れに煩わされることもないのだしな
……てか、これ、何に使うものなんだろう。
単なるインテリア?
形は親しみやすいハート型をしているけど、装飾に歯車とかいっぱいくっつけられててパンクでメタルな雰囲氣。
どういう意味合いがあるのかなあ。
「ブリキの心臓」と言えば、「オズの魔法使い」だけど……
ともあれ、ありがたくいただいて
対応を終わりとしたのでした。
ブリキの心臓
氣になったので、少し調べてみました。
ガランドウの身体を持つブリキ男は、道を歩く時も下ばかり見て歩く癖を持っています。「どうしてうつむいて歩くの?」という質問に、ブリキ男は答えます。
「自分には心が無いから、気をつけないと、小さな虫をうっかり踏み潰してしまうかもしれない。温かい心を持つ人が、自然にできることが、自分にはできないから、気をつけないといけないんだ」・・・
おま……!
心臓なくても優しいよ!!!
「オズの魔法使い」には後日談があり、そこにブリキ男も再登場していますが、そこでは実はブリキ男の悩みは解決した訳ではない、というやや興ざめなエピソードが描かれています。かつての恋人と、よりを戻したりもしていませんし、依然自分を「心の無い男」と評していることからも、彼の心の傷は、あの時癒えたわけではない事が分かります。
そうなのか……
せつない
結局、わたしがもらったものの意味は分からなかったけれども
これはこれで有意義なことを知れたように思いました。
まあ、なんだ、
意味とか有意義とか、追いかけすぎるのも良くないから (自分が理解できるもの以外は排除、の姿勢になるから)
『よくわかんないけど、ありがと~』も、だいじなのだ。
余談
いままでもらったものあんまり使ってないなあ、
使ってあげないと……
そのうちのひとつが、
霊媒師を始めたときにもらった (靈的な)武器なのですが。
もらう人の個性を反映しているので、人により違うのですが。
わたしの場合は炎刀だったんですね。
そしてこの刀、白刃ではなく木刀に近いそうながら、
その刀身が常に赤々と燃えているらしい。
ううーーーーー全然使ってない。
だって現実の体動かさなくて武器を使う機会もないから、
イメージの中でも使い方がよくわかんなくて…………
戦う場面もそうそう来ないしィ
とか思ってたら翌日
炎刀の超カッコいいツイートを目にすることとなり
なんというかますます、
『使えってことかな……』と
なったのでした…………オウフ…………
必ずしも戦いの中でなく、舞踊とかから入るのもアリかな…………形や使い勝手は自由に変えていいそうで、
包丁に投影するなどもアリだそうだし
囚われずに用途を見出していったらいいんだろうか……薪割りができれば斧に投影できるね
よし、薪割りだ
(いろいろ無理がある)