不満を金に変換する力

今回の辻ヒールは、高校生の女の子。

例によって生きづらさを抱えていて、
頼るための窓口を訪れたりもしてるんだけど
「学生だから」という理由で追い返されたらしい。

ええ、なんでだよ……!
その制限、いる??
保護者同伴が望ましいということを否定はしないけどさ……!
でもそれぞれ事情心情ってもんがあるじゃん!!
制限、いる?????

そういうことがあったからか、人間不信も育てている感じがある。



まずはご挨拶。

『こんにちは。
これこれこういう者なのですが、
施術してもいいですか?』

「好きにすれば」

態度はトゲトゲしているけれども、
断られなかったので基礎調整から対応開始。

うーん

彼女には、仲間が必要そうかなぁ……

自立心旺盛で、強い人だし、孤独も大丈夫なんだけど、
だからって理解者がいなくてもいいということはない。

ひとり、たったひとりでいいから
彼女が思いの丈を何でも話せる、信頼できる相手が欲しいところだなあ。

それをできる人を引き寄せる調整ができないだろうか……

と思って対応を探し始めたところ、

だ、だめだ。めまいがする。

わたしの、現実の身体の方で……
寝てるのにめまいがする。
今日は久しぶりに動いて疲れたからなあ……
いや、でも、だめだ
ちゃんと対応しなきゃ

ちゃんと、

ちゃん

ちゃんと…………

『ご、ご、ごめん

わたしの調子が悪くて、うまく対応できない……
一旦あとでにさせてもらっても、いいかな』

「役立たずじゃん」

『面目ない……』

現実でこんな風に言われたらめちゃくちゃ落ち込むけど、想いの世界の中だとそこまででもないのが不思議です。

漫画読んだり動画見たり、ゲーム眺めてるような感覚だからかな……
生々しくない。エネルギーの投げかけが鋭さを持たない (よほどの悪意がなければ)。
あと何より、安全というのが大きいのかな。
帰れなくなることも、生存や存在を脅かされるようなこともないからね。

結局この日、“あとで”でも
マトモな対応はできませんでした。

『ど、どうしよう、困った、
せっかく来たのにコレで帰るのもなんだし
う うーん
せめて時間を一緒に過ごしたらなんかいい影響あるかな……
お話でもどうですかね』

「勝手にすれば」

興味ないって感じではあるけど、

まあ……拒絶はされてないし…………

向こうからは何も言ってこないので、
わたしからぽつぽつ話を振りました。

以前あなたくらいの歳のとても大切な友達がいたこと、
年齢が離れているからちゃんとしなくちゃ!ってちょっとだけ気合いを入れてたけど、きっとそれは要らない見栄で、良くなかったんだろうなってあとから思ったこと、
ひどいことがあって立ち直れないほど落ち込んだ日に対応を間違って事実上の絶交になってしまったこと、
自己嫌悪したけど、たった1回の間違いでそうなるんならいつか同じことになったんだろうな、それがその日だっただけなんだと思ったこと、
悔やみきれなくて反省していろいろ振り返っていたら間違いは1回どころじゃなかったんだろうなあって気づいてまた落ち込んだこと、
その人と言葉を交わす日はもう来ないんだろうけど、万が一機会を得てももうどう接するのがいいか分からないから怖くて何も言えないだろうこと、
もしまたその人のような友達ができたらどうしたらいいのかってたまに考えるけど、分からなくて戸惑うしかできないということ、
今のあなたを見てそんなことを思い出したと……

『(ってわたしの愚痴しか話してねぇ!!

あああーーー何やってんの、手助けに来たのにむしろ相手に自分の愚痴聞き押し付けてさ……おおぉん orz)』

当の彼女は、態度は相変わらず興味なさげだったけど無視もしていなくて、反応が薄いなりにしっかりと聞いてくれてはいるようでした。

そうこうしているうちに、わたしの集中力が切れるともなしに切れ、
いつの間にか想いの世界から離れてしまい、戻れなくなってしまったのでした。



それから再び訪れたのは、3日が経ってからとなりました。

ここ3日間、何度も続きを試みたんだけど、どうしてもうまくできなくて……

『もうこのままなんだろうか……やる気もまったく出ない……どうしよう』

心配になっていたのですが。

なんとか戻ってこられて一安心です。

『こんにちはー
遅くなってすみませぬ』

「また来たの」

『続き、いいですかね』

「いいけど」

おや、態度がちょっと軟化している……?

先日はきちんとした対応ができなかったけど、それでもなんかしらの効果はあったのかな。
だといいんだけど。

そう思いながら、基礎調整をやり直しました。


 

『(ええと確か、仲間と出会えるようにってことだったよね……)』

続きを思い出しながら対応を探っていると、どうやら何か言いたげな様子。

『喋りたいことがあれば、どうぞどうぞ』

促したところ、いろいろと話し始めてくれました。

と言っても、その内容は言葉ではなくて、
言葉になる前のエネルギーの状態のままで直接どわーーーっと流されてきました。

だから、何を言っているかは分からないのですが、

でも、何を言いたいのかは伝わってきます。

どうやら愚痴と文句、不満のようです。
現状の身の周りのアレコレに対する。

それらを恨んでいるとか攻撃したいとかじゃないんだけど、
ただただ、不満がたくさんあって、
その思いの丈を、出てくるままに吐き出してくれたのでした。

わたしはそれをうんうん聞きながら、ふと思いついて、袋に入れ始めました。

まだまだ文句が終わらない様子の彼女でしたが、袋が気に留まったことで流れを止めて、質問してきました。

「何それ」

『うん?
砂袋…… ですかね?
いやただの袋なんですけど、あなたの話を袋に入れてみたらほら、砂になったので』

「どうするの?」

『せっかくなので集めるだけ集めて、あとで浄化しようかなって。
こう…………
ほら、単なる砂がキレイな砂金になりましたよ

「それ、ほしい」

『∑ええっ
待って待って、単なるでっけぇズタ袋だからコレ……!
せっかく差し上げるんならもっとかわいくしましょう。
こう……

ほら、どうですか』

と言って、お守りみたいな小さな袋にしました。
限りなく赤に近いコーラルピンクの布地に、白くて小さなお花の刺繍が散りばめられています。

「かわいい」

『よかった
あなたの好みがちゃんと反映されてますね。


あっそうだちょっと待ってください
機能もつけときましょう……

……今後、文句が湧いたらこの袋の中に吐き出してみてください。
その文句…砂もまた、浄化されて砂金になります。

この機能は、わたしが「そうしよう」と思ってこうしたものではなく、あなたの中にあった最善を引っ張って具体化したものです。

それが「砂を砂金に変化させる」ということは、
あなた自身に
「砂(不満)を金の価値に変換する」という力があるんでしょうね。

それはつまり、不満が多いことも意味するかもしれませんが……
金にできるよう、がんばってみてください』

「うん。

よく分からないけど、やってみる」



それにしてもあのズタ袋が、ずいぶんと小さくなっちまったモンだなあ……
大丈夫コレ、小さすぎるんだけど文句吐き出しにくくない?

という点がわたしは気がかりで気がかりでw

まあでも彼女の潜在意識が導きだしてくれた内容だし、いいのか。

ところで仲間の引き寄せ出てこないけどどこ行ったん
この袋で終わりでいいっぽいんだけど、いいの……?
いやまあ確かに「思いの丈を吐き出せる先」っていう要件は満たしてるけど……!
いいのか袋で!!
袋は友達、的な???
袋は友達……!

そんな心配をぐーるぐーるしておりましたら

「ねえ」

『うん?』

「どうもありがとう」

『!!』

『はい、どういたしまして!』

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