贈り物 [1/2] 氣難し屋が喜ぶ贈り物

「喜ぶ贈り物」なんていう
明るさを連想できるタイトルですが

賢者の贈り物」のような心に沁みる話でも
人を喜ばせて人氣者になっちゃうよ!的なウキウキする話でも
まったくないですw

むしろ暗い。
めちゃくちゃ暗い。

よーーーそろーーーーー


 

兄は人を喜ばせるのが好きな男で、
その対象としてわたしのことも例外ではなく
何かあってもなくても
面白いものや誕生日プレゼント等々を贈ってくれたり
イベント事やコンサートに誘ってくれたり、
それからボードゲームや人狼といった遊びに呼んでくれたりするのでした。

しかし
なんちゃってミニマリストで引きこもりで人嫌いのわたしは
物に対する返事は『いらねぇ……』であり
お出かけに関しては『行かねぇ』であり、
遊ぶ提案についても『嫌だ』一色なのでした。

兄貴はなんというか
性格がウッキウキしていることもあり
断られても嫌がられてもメゲずに (というよりもすっかり忘れて) 声をかけてくれるのですが、

そのたびに
『いらねぇっつってんだろうがああぁぁぁ』なわたしの砲撃を返されるのでしたw

 

そうはいっても、何年もそんなやりとりを繰り返していたらさすがに思うところも出てくるようで、
あるときこんな疑問を投げかけられました。

「嫌なのはいいんだけどさ、
一体何なら喜ぶんだ……」

そういえば考えたことなかったな、と少し思考を巡らせたのちに、
このような内容を返しました。

『何もしないこと』

『生きていることが苦しいという感覚がある』

『何があったとかでなくても、
生きていることが、それだけで苦しい、ただただ苦しい』

『楽しい時間には、その苦しみを忘れられる。
だから、人生を少しでも多く楽しい時間で塗りつぶしたい。
そうやって、終わりまで待つしかない』

『だから、そうさせてほしい。
横槍を入れないでほしい。
予想外の事態を持ち込まないでほしい、
対応させないでほしい。

ペースを乱さないでほしい、
どうか放っておいてほしい。

それが一番ありがたい』

この返事を聞いた兄はなんというか、
なんとも言えないという感じで、

ようやく出てきた言葉が

「なんか……お釈迦様みたいだな……」

でした。

ぜんぜんそんなすごいものではないけどw
と思いながら
どゆこと?
って聞いたら

「人生には苦しみしかない、というところが……」

だそうです。

なんだか少しズレた感想だなあと思ったのですが、
内面で何かがぐるんぐるんしている感じだったので、
うまくまとめることができないまま
なんとか今言えた言葉がこれだった、のだと思います。

まあ、正直、兄からの誘いはどんなにあっても
そこまで迷惑ではなかったのですが……
無下に雑に断れるからw

これが他のひとだと、
丁重に扱わなければいけないというか
礼儀を忘れてはいけないというか、
人間扱いしないといけないのですごい面倒……、というのが正直な感想だったのでねw

周りはまともで善意の人ばかりなので、
やんわり断ると遠慮と解釈されるし
ハッキリ断っても「仲間はずれは良くない」ということでなかなか引き下がってもらえずで、
そもそもこれで困るという感覚が分からないのだろうなというか……
結果、お声がけがそこそこ来てしまうのです。

本来なら喜ぶべきところと知ってはいるんですけどね…………

わたしにとっては苦痛なんだ、すまない。

(「常に頭痛や腹痛があって薬も効かない人」に例えられるかもしれません。
ご厚意はありがたいけれど、仕事は最低限せざるを得ないけれど、
本当はそれどころじゃないのよォ頼むからそれ以上を求めないでくれよォ!みたいな。
なるべく自分のナワバリで、せめて1人で好きなように過ごさせてぇ!
そしたら痛みに対応しやすいから……人といるとそれが難しいから。
実情とは違うのですが、心境としては大体そんな感じです)


受け入れるのも断るのも負担が大きいので、
罪悪感と嫌悪感と理解を得られない孤独や悲しみで情緒ぐっちゃぐちゃになりながら

『もう、ほんと、たのむ、ほっといてくれ…………』

『何もなければいいのに。特別の何もない日々が一番なのに』

そんなふうに思うのです。



ウッキウキの兄貴も先の希望を聞いてその後は
積極的なお誘いを持ち込んでくることはなくなり、

知らせてはくれるけれども
「来て来て楽しいよ!!」みたいな空氣感は出さずに
こちらの様子や希望を何よりも伺ってくれるようになりました。

ありがとう、
それが一番嬉しいよ。

そもそも君は
構ってほしいときによく構ってくれるのだし
ゲームやら音楽やらなんやら分けてくれるのだし
困ったときや手伝ってほしいときには助けてくれるのだし

それ以上の特別を持ち込んでくれなくたってとっくに
わたしにとって一番の嬉しいやありがたいを
提供してくれてるんだよ……

君がわたしの生家に兄として先にいてくれたことはわたしの人生で相当な幸運で、本当に、本当に良かったと思っているし、
その実感は年々深まっていくばかりだよ……

それはそれとしてやかましいたけめっちゃやかましいたけ
もうすこしおとなしくできない???(◑౪◐)存在が(存在が)

関連記事

もう何も受け取れなくなった人のおはなし

タイトルとURLをコピーしました