- 牛乳の生産と動物愛護 [前半] 生産過程
- 牛乳はダメなの?どうして?という疑問
- 「分けていただく」その過程
- お乳が出る前提には、妊娠出産が必要である
- 生まれた子牛は母親と引き離される
- そもそも「殺していない」わけではない
- “処分品”の歪んだ循環
- 人間は愚かで傲慢じゃ~~!!
- 牛乳の生産と動物愛護 [後半] 人々の意識、精神性
処分品”の歪んだ循環
2001年の秋。
日本国内で初めて
狂牛病を発症した乳牛の存在が報じられ、
一気に世間へと話題が広がりました。
「狂牛病」という名前からは
牛だけが発症する印象を受けますが、
この病は羊や犬猫、そして人間等、
他の動物たち (哺乳類) にも感染します。
発症する動物や地域によって
いろいろな呼び名がありますが、
症状や原因がほぼ同じことから
まとめた呼び名として「プリオン病」という名称があります。
この病に感染すると
脳のタンパク質に一部異常が発生し、
そこから脳みそがスポンジのようにスカスカになっていって、
精神機能に運動能力に……
脳が制御するあらゆる機能に、異常をきたすようになります。
治療方法は存在せず、
ゆっくりと進行していき、
そして発症から数年後に死を迎えます。
発病の原因はいくつかあるようですが、
主なものは「発病者 (の、特に脳) を食べること」です。
……が、これは「高確率で発症する方法」であって、
「発病していない者でも共食いによって発症する」
という説も濃厚です。
さて。
狂牛病 (プリオン病) について、
軽く説明してみましたが……
日本で発病した乳牛は、なぜ感染したのでしょうか?
脳みそを食べさせていた、とでもいうのでしょうか?
推測するだけで吐き気のする話ですが、
事実はさらに酷いものだったりします。
かつて、牛の飼料として
「肉骨粉 (にくこっぷん)」というものが輸入され、
使われていたことがありました。
これはその名の通り、
肉や骨を砕いて粉にしたものです。
そして材料は、売り物にならないと処分された
動物たちの残骸なのでした。
牛の食事に牛 (も混ざったもの) を出す……
こんな狂ったことが、あるでしょうか?
自然に暮らしていれば、哺乳類が日常的に共食いをする事態は起こらないはずです……
業界が発展していく過程で、
「残った部位が、もったいないよね (๑☌∀☌๑)」
「ただ捨てるのは、大変だよね (๑☌∀☌๑)」
と考えたのは、理解しなくもないのですが……
そもそもそんなもんが大量に生じる前提の産業体制が狂ってる って思ってしまうけど、
そんなのは畜産に限らんというか、人類のレベルがまだそこ ってことだから……
……今では、
肉骨粉の使用は禁止されていて、狂牛病の検査も徹底して行われていますので、日本国内で狂牛病が感染する心配は、必要ないのですが……
牛には。
ちなみにですが、日本で狂牛病騒ぎがあった頃、
肉骨粉の輸入元の国では、とっくにその使用が禁止されていました。
え、だってそんなもん使って狂牛病が発生したら危ないじゃん。
……なんでこの話題を取り上げたかというと、
「人間の欲望と効率のためには心無いことが当たり前におこなわれる」が
とても分かりやすい事例だからです。
騒ぎによって、肉骨粉それ自体の使用は無くな……らないまでも控えめになりましたが、
「明らかな問題が発生しなければOK」という思想や
「良心よりも効率を優先 (せざるを得ない)」という実情から抜け出すことは、ほとんどできていないでしょう。
だから、牛たちの管理体制が、前段落で述べたような感じであるわけで……
他にも、角を切られてしまうのもなかなかつらい話です。
危ないからと、切られてしまうらしいのですが。
牛の角には神経も血液も通ってるから痛いんですって。
麻酔は使わないことが多いそうですし。
人間で言ったら指とか腕とかに同じことされるような話なんだろうな、と想像したら、背筋が凍りました。
わたしの耳が遅いだけ、こんな酪農は時代遅れ、すでに動物愛護と両立させた畜産が主流になりつつあるよ!
そういう事実があってくれたら、嬉しいのですが……