肉体を持たない人たちが
多くの贈り物を持ってきている様子を見て
靈というか想念界のというか……
体を持たない人たちってさ、
ホント気前いいよね
わたしがたまたまそういう人らと
縁があるだけかもしれんけど……
今んとこ、ケチの魂は見たことがない
物質に囚われない世界には、制限がないからな
あなたたちの世界には制限があり、
制限があることで世界を小さく区切ることができる
そうやって関わる範囲を限定することで
より深く より精細な知覚を体験することができる
せやな……
肉体のある世界に生まれてくるのは、
そうやって鮮やかに物事を感じるためとか言うね
けどさぁでもさぁ
それはそれとしてさァ
わたしも気前よくなりたいよ
現実は全然だよ
もう何もしたくない、あげたくない、関わりたくない
本当はそんなケチケチしたくないのにさ
もう無理 何もかもが無理
差し出せるものなら差し出すけど、
今のわたしにそうできることなんて、したいと思えることなんて、もう……
制限のない(ゆるい)人たちと比べて引け目に思うことはない
それは相手が靈存在であっても、肉体を持つ者であっても、同じことだ
無理をすることはない
あなたはあなたの制限の中で、
できることをすればいい
差し出すのも学び(体験)だし、
差し出さないこともまた学び(体験)だ
余裕がある中で差し出すことがあり
余裕がない中で差し出すこともある
余裕がある中で差し出さないこともあり
余裕がない中で差し出さないこともある
気前の良さに憧れるのは悪いことではない
しかし、制限と付き合い、
差し出す選択を控えることもまた
貴重な体験であり、学びなのだ
制限を振り切り、乗り越える体験は、
人の持つ強さを感じられる、素晴らしいものとなるだろう
しかし、制限と付き合うこともまた、
その世界だからこその、素晴らしい体験なのだ
制限のない世界では、制限に従うという発想すら沸かない
制限に縛られて身動きを取れなくなることが勿体ないことだとすれば、
制限を無視して何かを損なうこともまた、勿体ないことなのだ
体験したいときには体験しなさい
選びたいものを選びなさい
しかし、そうでないとき無理に飛び込む必要はない
制限に負けることも大切にしていい体験だ
制限に負けて、世界を狭めて、視界にほんの少しのものしか見られなくなって
それでもその範囲の中で無限に広がっている深みを覗いてみるといい
それは、制限に縛られていてこそ、見える景色なのだから
おうふ……
その話はその話として面白いけど
それはそれとして、ワガハイもうちと余裕持ちたい
ワガハイも贈る側になりたい
でももう無理じゃないかな……
なれる気がしない……
なりたいとも思えなくなってしまった
なりたいのに、なりたくない……
葛藤を超えて、望めばすぐにでもなれるだろう
あなたの中にももともとは、気前の良さはあるのだから
かつて、(靈存在の) 女の子に手帳を贈ったことがあったね
その時嫌だとも疲れたとも思わなかっただろう？
制限のない世界では、君もそうなんだよ
あー……
そういやそんなこともあったなあ
役に立てたんだろうか、あれ……
それなりに気に入って、
ぱらぱらと頁を繰ってはいるようだね
……せっかくそう言ってくれても、その情景を伝えてくれても、
わたしにはそれが、本当なのか分からない……
確認のしようもない
いつか想念の世界を確認できる人に会ったら、聞いてごらん
しかし、確認のしようもないからこそ、
君に見えたこと、君が感じたこと、君の思ったことがすべてだよ
あなたに見えた可能性が、あなたに見える可能性のすべてだ
物理世界でやったら危険な思想じゃないか！！
思い込みィ……！ 一方的ィ……！
ストーカー思考……！！
……でもそうか、物理世界じゃなかったわ……
なかったし、彼女と手帳の関係が実際どうであってもわたしには関係ないことなんだよな……
贈ったという縁はあれど、それ以上には……
少なくとも今のところは
……まぁ……
とりあえず、今ある制限……
本質的には自分で作ったやつだけど、
そのことを知りつつも気付けないままの中で、
もう少し、なるようになってみますわ……
狭い世界をもっと覗いてみるわ
空気感を崩さないようにするとどうしても
小難しい言い回しになっちゃうんだけど、
もっと砕けた言い方をすると
「ケチケチしたいときは
ケチケチすりゃぁいいのよ」
です。
空気感だいなしｗｗｗｗｗ
「そりゃぁね、自分に余裕がないときすら気前よくできるのがかっこよく見えることってのはあるよね
でもさー、制限のある世界で生きてる以上、資源とか体力とか時間とかを考えずに無理をするのは良くないし
余裕があったとしたって何でもかんでも差し出さなくていいのよ
人間の基準や常識に振り回されなさんな
どんな選択も全ては、貴重な体験であり学びに繋がってんのよ」
