- 牛乳の生産と動物愛護 [前半] 生産過程
- 牛乳の生産と動物愛護 [後半] 人々の意識、精神性
- とはいえ、人間たちを責める気にはなれない
- みんな揃って経済の奴隷
- 人の心と経済合理性
- 動物たちの喜びと繁栄に寄与できるのも、また人間である
- 人々には未来を創る力がある
- 本当の“いただく”とは、差し出されたものを受け取ること
- 余談:超根本的な疑問
- とはいえ、人間たちを責める気にはなれない
人の心と経済合理性
まともに動けない狭い範囲に閉じ込められた中で一生を管理される牛 (や豚) 達が大半な中、
効率が落ちてしまうのを承知で、牛を思いやった接し方をされている牧場さんもあります。
こちらのページでは、そんな牧場の在り方と、そうではない牛たちの扱いについて、触れられています。
閉じ込めずに放牧することで
餌も自然の恵みをたくさん受けた草となり、
妊娠も自然交配させていて……
角も切っていなくて。
このページやサイト内から見えないことに関しても、牛たちを思いやっているのでしょう。
下記の記述があります。
(通常の乳牛は)
毎年出産と妊娠を繰り返し、乳を多量にしぼるため、5~6年で廃牛となり、食肉となります。
(この牧場における乳牛は)
寿命は10~15年です。
びっくりですよ
2~3倍違うじゃん!!
人間で単純計算したら
享年30歳か90歳かの違い……!?
明記がされていないので廃牛と寿命の違いはあるのかもしれませんが、でも、同じ年齢で比べた際の健康状態は全然違うと思うんですよね。お産は自然分娩とのことですし (ソフトミックス紹介ページに記載)。
こちらの動画はちがう牧場さんですが、
こんなふうに元気なみんなだったりするんですかね……!
「半年ぶりに牛舎の外に出る牛たち」
Witness Special…めっちゃ嬉しそう。オランダ北部の牧場。冬は寒く草も生えないので外に出すことが出来ず、こうして4月に放牧するのが伝統になってて、この瞬間を牛だけでなく多くの人が楽しみにしているそう。
牛さんたちの嬉しそうっぷりすごいよね!
その重い巨体で細い脚でそんなに飛び跳ねて大丈夫なの!? って心配になるくらい元気で、
そしてそんなもの吹き飛ぶくらいに、生き生きとしていますw
こちらさんもみんな角が残ってるし、人々も嬉しそうだし、
この牧場には普段から優しさと喜びがあふれているのだろうなあ……
お尻につけられている番号は、バリカンで刈られているのでしょうか?
丁寧に、定期的に、愛情込めた人の手でお世話されている様子が浮かんできてなんだか和みます (´¬`*)
先に引用した牧場さんにお話戻りまして。
搾乳量についての記載も驚きですね……
通常なら一頭から1年あたりで
8000~1万リットルを絞っているところ、
この牧場さんは (牛に無理をさせないため) 2000リットルと…… 量が違いすぎる……
あと目からウロコだったのが食事について。
「通常の乳牛は乳脂肪分と量を確保するため高タンパク高カロリーの飼料が大量に与えられている、そのため消化器障害や乳房炎などの病気が増える」
という内容が書かれていて、う、う、うわぁ……
牛さんたちについてもうわぁしつつ、
『これと同じことがやっぱり人間の間でも起こってるよね?』
という観点からも、うわぁなのでした……
「与えられている」という感覚ではないけど、栄養価が高すぎる食べ物を常食することは消化器や身体のバランスを崩すよね。
こういう牧場さんが増えてくれたら……
という思いもありますが、
現実的には……難しいでしょうね……。
手間暇をかけて丁寧に用意される製品は、
最低限の環境で効率のみを優先して用意される製品よりもどうしたってコストがかかり、価格へも反映せざるを得ないからです。
牛乳やその加工品が値上がりしたとき、
消費者は良い顔をしないですよね。
しかも、それでも値上げとなった場合、
相場に合わせて値上げはしつつ
内情は今まで通り低コストのまま、そして差額を懐へ……という生産者も、おそらく出てくるのです。
対外的には動物愛護、彼らになるべく苦痛の少ない環境を、と謳っておきながら、
内情はまったくそうではない、という業者さんは現状でも実在するそうなので。
内情のことは、パッケージされた製品をただ購入するだけの人々にはなかなか分かりません。
とはいえ、内情の諸々を消費者側が知らないままなのも
生産側の人々が効率優先になりがちなのも、
仕方がないことなのかなとは思います。
悪質な事業者は論外としたところで、
お金のシステムはどうしたって事業者に儲けを追いかけさせてしまいますし、
消費者がこういった内容を知ったり興味を持つ機会はあまりないからです。
コスト問題については、やはりといいますか
上記牧場さんの別のページ (Q&A) でも触れられていました。
でも、コストだけでなく、下記の内容に『そういう事情もあったんか!!』って驚いてしまいましたね……
(自然放牧について、「なぜ広まらないのでしょうか?」の項目)
1987年(昭和62年)に全農と乳業メーカーによる生乳の「乳脂肪率3.5%基準」が導入され、乳脂肪分が基準に満たない生乳の価値が、半分になってしまいました。
自然放牧を行っていると、乳脂肪分がこの基準に満たない季節が出てきます。
春から夏、萌え出た瑞々しい青草をたくさん食べると乳脂肪分は下がります。
本来は四季を感じることのできる「最高の生乳」のはずでしたが、基準に満たない「最低の生乳」になってしまいました。
おうふ……
ちなみに
この基準ができた背景は、前年に乳脂肪分の濃い農協牛乳が大ヒットし、濃い牛乳が消費拡大につながると考えられたことや、輸入穀物飼料等が安くどんどん入ってくるようになったことが要因ではないかと考えられています。
常に3.5%を維持するためには、濃厚飼料や乾草を多く与えなければならないようです。
という記述もされていますね。
おうふ……
そうだね関わってくる思惑は事業者の儲けに関するところだけじゃないよね……
そして悪意や欲望ではなく善意だったりもするんだよね……
おうふ……
緩やかな……フォアグラ…………
(※悪意のある解釈です)(フォアグラの製造方法はホントこの世の地獄だから……)