●わたしはなぜか東京にいた。
友達と遊びにいくために、はるばる来たらしい。
苦手である人工的な建造物に囲まれた景色に『うえぇ』となり
『(よく来たなぁ)』と我ながら思いつつも
友達と合流して、電車に乗った。
「座席がちょうど二人分空いてるね、ラッキー!」
ってなりながら。
●移動しながら、
「東京に帰ってこないの?」
と聞かれた。
わたしは『嫌だよ!!』と答えた。
『コンクリートジャングルの灰色は、見ているだけでゲンナリする。
東京には自然がなさすぎる』
●「東京でも、~~という場所には自然があるよ」
『……あのね、札幌はね、
市内のどこからでも、山が見えるんだよ』
「東京でも山が見える場所はあるよ」
『そういうんじゃない、そういうんじゃないんだ。
何ていうのかなあ……
●そういうんじゃなくてもっと、日常の一部というか……
「あるからいいだろ」って考え方が、もう違うんだ。
それは管理と計算と情報の世界で、わたしがいたいと思える世界では、ないんだ』
●そんな風に言いながら窓から外に目をやると、橋の上に差し掛かっているらしく大きな川とそこを縁取る木々が見えた。
この場所も東京の一部らしいけど、自然が豊かで素敵だな、と思えた。
●だけどこれは特別な場所で、レジャーで来る場所で、日常の一部、暮らしの一部、身近な空間ではない。
それはやっぱり、自分にとっては違うのだ。
●わたしの強すぎる言い返しが聞こえたのか、友達と逆側の隣に座っている女性から声をかけられた。
「ねえ、そんなあなた、札幌に帰ったらこういうお仕事があるんだけど、どう?」
一枚の紙を渡されると、いくつかの仕事が書かれていた。
●自分の主義主張から、声をかけてもらえるなんて!
わたしにもできる仕事があるなんて!!
そう嬉しく思って目を通したが、詳しく確認する前に
「必要なことを伝えておくから、メモしてね」と言われたので必死にそのとおりにした。
●あまり聞き取れなくて、特にこの女性の名前が何度聞いても分からなくて、何度も聞き返した。
あまりの聞き返しにちょっと嫌な顔もされてしまったけど、無事に書ききって、降りる駅だったので女性(たち)とは別れた。
●目的の駅に到着、一面の銀世界だった。
『東京だけど雪が積もってる!!
あっしかも、フカフカのやつだぁ~!!』と思って
誰も踏み荒らしていないところにぼふっと倒れ込んでみたw そのままゴロゴロ転がって遊ぶww
それを見た友達も「そんな遊び方があるんだ!」って同じことを始めたw
●一応渋谷駅らしかったけど、実際の景色とは全然違って、田舎の駅みたいに駅前がだだっ広く開けていたので、別の友だちも加わってきてみんなでいっぱい転がって雪まみれになって遊んだw