●部屋がそこにあった
みんなでこっそり使おうということになった
秘密基地だ!わくわくした
●そこはやがて本がたくさん持ち込まれ、PCも何台か設置されて、図書室のような空間になった
わたしはその部屋の奥にある長椅子に寝そべってた
部屋は肌寒いけど、毛布にくるまっているから温かい
でも何よりも、本当に温かいのは心だった
わたしは胸に、大切なものを抱いていた
●それは充電中で、充電が終わったら大切な人が出てくるのだ
わたしはその人のことが大好きで、会えるのを楽しみにしていた
今は充電中だと聞いてガッカリしたけど、
でも充電が終わったら出てきてくれるんだ
会えるんだ
そう思うと待つ時間も楽しくなった
●だけど、ふと思った
わたしはこの人のことが大好きだ、会えるのが楽しみだ、近くにいられることが嬉しい
でもきっと、この人はわたしの事を好きでもなんでもないのだ
そして好いてくれることもおそらくないのだ
興味すら持ってはもらえないだろう
●そう思ったら悲しくなった
相手の心の自由を捻じ曲げる権利はわたしにはない
だけど、自分が好きな相手に、好かれたいと思ってしまうのは、仕方がないじゃないか
好かれたら嬉しいのは、当たり前じゃないか
●相手と良い関係を築くことも
そもそも目を向けてすらもらえないことが悲しい、
その一方で、
やっぱり、会えるのが嬉しくてならないのだ
ただただ好きなのだ
早く目覚めてくれないかなあって、楽しみでしょうがないのだ
●相手が目覚める前にわたしの目が覚めてしまったので残念ながら相手の人には会えなかったけど、
起きてしばらく、ぼんやりとした意識の中で
幸福感の余韻に浸りながら
人を好きになること、見返りを求めないことについて
なんとなく思いを馳せていた