熊と遭遇したり犬もふもふしたり

わたしたちは、ミニバンを2台か3台繋げたような車で旅をしていた。
行き先は分からず、のんびりと走りながら、その中で10人か20人か分からないけど結構な人数が好きに過ごして、ときには車を停めて外に出たりもしていた。

(現実的に考えればそんな人数入るわけがないんだけど、ぎゅうぎゅう詰めという印象はなかった)

わたしは大抵最後尾の左側にいた。

あるとき、停めていた車に熊が興味を持ったようで、車の窓をバンバン叩いてきた。
最後尾右側の窓を叩いてきたので、わたしの位置からはその様子がよく見えた。

やがて熊は窓を割り、車の中に入ってきた。

(サイズ感的に入らないんだけど、夢だから車内は狭いのに広かった)

中にいたみんなは死んだふりで対応。わたしもそれに倣った。

熊は中にいた人をクンクンと嗅ぎ回っていた。
わたしはそれを見ながら

『誰か食われるのかな』

『のんびりしてて、害意はなさそうだけど……』

『仲良くなれないかなあ。
でもわたしが迂闊に動いたことで被害が出たら詫びようもないからなあ』

と思いながら、じっとしていた。

そのうち、数人をクンクンした熊は、入ってきた窓から去っていった。
わたしのところへは来なかった。

すぐに動いては危ないということで、皆しばらくはそのまま伏していた。
そろそろいいかなというところで起き上がる。
割られた窓がダンボールによって塞がれ、『(修理が雑だなぁw)』と笑ってしまったw

よした方がいいのは分かっていたけど、車から降りた。
遠目に熊が見られないかと期待してのことだったけれど、その姿はどこにも見えなかった。

代わりに、警察官と、猟友会の人たちがやってきていたのが見えた。
誰かが呼んだらしい。

『(ああそうか、熊被害が出たから……そうか……)』

あの子は殺されてしまうんだな。

わたしに止められるはずもない。
止めることが良いことなのかも、分からない。

だけど成り行きを見守りたくて、車の周りをうろついていた。
車体の左側から右側へ回ると、そこは少し先が崖になっていて、その向こうには鮮やかな海があった。すごい景色だな――!

海と空の青に見惚れていると、崖からひょこっと熊が顔を出した。

『あ』

そのまま登ってくるのをぼんやりと見つめる。
崖を登りきった熊は、のほほんと立ち上がっている。でっかい。

さっきの子と同じかどうかは分からないけど、やっぱり害意はないような。
ゆっくり近づいたら、友達になれないかな――
それとも向こうから、こっちへ近づいて来たりするかな。

そう思っていたら、猟友会の人が二人、熊に向かって銃を構えた。
熊は特に動かず、そのまま立っている。

わたしに止められるはずもない。
止めることが良いことなのかも、分からない。

乾いた破裂音が2回響くと、その巨体は後ろに倒れ、崖の向こうへと落ちていった。

きっとこのあと、崖下に降り、確認が成されるのだろう。
ここでの足止めは、今しばらく食らうことになりそうだな。

そう思いながら、車の中へ戻った。

定位置となっている最後尾から、なんとなく、一つ前の車両へ移動してみた。

そこにはでっかいシベリアンハスキーがいた。
赤い服のよく似合う、飼い主の女の子ととても仲の良い大型犬だ。
女の子とはいつも一緒にいるのだが、今日は姿が見えない。

わたしは彼女と親しいわけではないので、勝手に撫でてもよいものか迷ったけど、
ハスキー犬の方から来てくれたので、撫でさせてもらった。

うわーふかふかだ!!
めっちゃ毛!!!

もっふもっふなその体に抱きついて
思う存分わしわしさせてもらった。
かんわええ……!!

タイトルとURLをコピーしました