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「食べ物を残しちゃいけない」ってありますよね。
私にはそれが素直に受け入れられない。
いや「食べるものを粗末にしてはいけない」という点には大賛成ですよ。そこには異論なしです。
でもさ。現実問題さ。
残さず食べる心がけの実行…って、意外とむずかしいではないですか。
そうでもない人の方が多いのかな。女性や少食な人にとっては結構ハードルたかいと思っているのですが。
自宅で好きなものを食べるなら調整自由ですが、学校の給食とか外食だと「少なめにしてください」にも限度がありますし。
かと言って持ち帰ることもできない。
頼めば包んでくれたりしますし、自分で持ち帰りタッパ持参という方法もあるけど、かさばるし、ラーメンとかのメニューはきびしいです。
それに、食事後に歩きまわる用事があるとか大勢での飲み会だったりの状況だとやっぱりそうもいきません。
「食べ物を残してはいけない」論には
「世の中には食べられない人がたくさんいるから」とのセットがお約束ですが、コレを説得材料にするのもおかしいと思っています。
これもこれで、食べられない人を思いやることに異議を唱えたいわけではないですよ。
ただあまりにも、現実性に欠いていやしませんか？
世の中に食べられない人がたくさんいるのなら、
「だから残さず食べましょうね」じゃなくて
「食べきれないぶんは分けてあげましょうね」じゃないの？
これもう少しスケールを大きくして考えてみると分かりやすいのですが。
食うに困る＝後進国、食べ物がたくさんある＝先進国 と単純化して考えると、
「食べられない人がたくさんいるから、残さず食べましょうね」という言葉は
「後進国は食糧が足りていないから、先進国にある食糧は食べつくしましょうね」という意味になります。
論理がおかしいね？
いやもちろん、そんな嫌味に聞こえる意図からではなく「恵まれていない人たちを思いやりましょうね、恵まれていることに感謝しましょうね」という美しい想いから生まれた言葉なんだと思いますよ。
でもその思いやり絶対届かないよね。
届いたら逆に「メシ独占しながら何言ってんの？」で暴動が起き得ますがな。
美しいだけで相手をきちんと見ていない優しさほど残酷なものはないですよ。可哀想って言われるだけじゃお腹は膨れない。
*1
もしも後進国と物資共有することになったら、それはそれで新たな問題が出てきますけども。
配送経路の整備とか援助される側の人間性などなど。残念ながら、支援が本当に必要な人々へ届く前に着服されてしまいやすい現実もあるそうです。
(蛇足ですが、“食べられない人がたくさんいる”理由は「世界に食糧が足りてないから」ではなく「(後進国に) 食糧を買うお金が足りてないから」、だそうですやるせない)
そもそも、「目の前に出された食糧を食べきる」ことが本当に「食べ物を残さない (無駄にしない)」ことに繋がるのでしょうか？
各自が自分の給食を残さなければ、食べ物は無駄にならないのでしょうか？
クラス全体で、学校全体で配膳しきれなかった分についてはどう考える？
外食産業で、残飯が出なかったとしても、お客さんの入りが少ないために残った食糧はどうなるだろうか？
飲食店ならまだ食糧の備蓄調整が効くかもしれないけど、作り置きのお惣菜やお弁当は？
スーパーやコンビニで期限が切れて捨てられていったそれらは、一体誰が食べるべきだったのか？
そもそも の そもそも、「出された食糧を全て胃に収める」ことが「食べ物を無駄にしない」とイコールなのかも怪しくないだろうか？
少食で、残すのはだめだと全部食べたところで、その後吐き戻してしまう体質の方だっていますよね？
「吐いちゃう人はしょうがない。吐かない人はがんばって食べよう」だとしたら、苦しみながら残さず胃に入れきる事が、ゴミ箱に入れるよりマシだと言うことでしょうか？
過剰に食べれば身体へ負担がかかるのに？
人の健康や寿命を損ねてでも、する価値がある行為ということでしょうか？
*2
ちなみにゴミ箱に捨てた生物(ナマモノ)はゴミ焼却炉の負担を増やしかねないので、そういう意味ではゴミ箱より胃に入れた方がよいと言えるかもしれません(´・ω・｀) 環境的にはね。人間の内臓が持つ処理能力はすごいのだ。
人の健康より環境を守る方が優先！かどうかに答えを出すのは難しいので、人の健康を守れる食習慣が根付くのがいいなと思います。
その暮らしは環境も、人間の健康も、食糧問題も改善に向かわせてくれるでしょうし。
残飯処理。
自然界のしくみではどうなってるんですかね。
いくら野生生物でも、たとえば生き物の肉を骨から全て綺麗にはぎ取るのは難しいではないですか。
を考えてみると、たとえばライオンが残した肉はその後ハイエナなど他の動物が食べたり、虫が食べたりして、最後は微生物に食べられて（分解されて）いるのですよね。（そしてやがて、植物の肥料となり草食動物に食べられまた肉食動物に……）
人間の食糧は、その循環からはずしてしまったのですね。
*3
実際には、下水に流したものは汚水処理の一環として微生物分解しているそうです。自然の力を借りて処理してる。
だからといってトイレや流しに残飯を捨てると、下水処理場の処理能力を超えてしまったり (むしろ処理能力を落としてしまったり) するからやっちゃイカンそうな。
処理場以前に、排水管の詰まりを招いたり老朽化を早めたりもしますし。
(だからって「残飯は野山河川に捨てよう！」なんてやったらこんどは環境汚染ですけどね……)
このへんを踏まえて、私の中では下記の結論にまとまりました。
「食べ物を残してはいけない」が良しとされるのは、
「食糧に関して、“無駄にしない意識”と“全てを人間だけで処理する前提”がある」ためである。
また、食糧を無駄にしないことが美徳ならば、やるべきは
「(個人が)食べ物を残さない」よりも
「(社会全体で)有り余る食糧を一部の人間が独占している現状を見直す」が望ましい。
しかしこの対応は規模も大きく、大変である。
そのため、問題の本質を見ないフリしながらも善意を演出するために「食べたくても食べられない人がいる」という言葉が有用であり、多用されている。
（あれコレただの皮肉？）
先進国で暮らしているというだけで、「食べ物を粗末にしない」を真に実践するのは難しそうですね。
連帯責任の考え方をしたらですけども。
誰も悪くないんだけど、みんながこの状況の後押しをしている という。
意識的にではなくても。
まあ、そんなふーにごちゃごちゃ考えずとも、目の前の食事をおいしく残さずいただくことは大事だよね！ 考えたところで、具体的にできることもそれくらいしかないしな!!
今日もごはんがおいしくてしあわせですよ!!